2009-07

カニバリストの告白 / デヴィッド・マドセン

カニバリストの告白 / デヴィッド・マドセン

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生まれて真っ先に渇望したのは肉だった。
ある朝、私は乳を吸いながら母の乳房を噛みちぎろうとしたという。
あの日、厨房で何があったのか―。
独房で綴られる、天才シェフの数奇な運命。
母親への執着と父との確執、そして師匠との関係を経て辿り着いた
人を意のままに操れるという究極のレシピとは…?
満を持して放つマドセン最大の問題作


ケッチャム以来の不快感溢れる文章でした!笑。
カニバリズムというタブーに挑戦なので、この文体は非常に良かったと思います★
訳者の人も最高に上手だった!!!!
向こうの言い回しをとても分かりやすく、そして生々しくちゃんと訳してましたvv

過去、何人もの猟奇殺人者が試みてきたカニバリズム。
人肉・・・共食い・・・
正直、好奇心としてカニバリズムへの密かな憧れはありますが
多分現実に口にすることは絶対に無いだろう。
私にはそこは絶対に超えられないボーダーだ。

主人公のオーランドーは天才シェフ。
愛するのは『肉』。
『食肉』ではなく『肉』。
何だろう、この生々しさは・・・
食欲も性欲も、全ては『肉』に。

淡々と語りすぎていて
正直狂ってるのは誰なのか分からなくなってくる不気味さが面白かったです。
ラストも上手かったと思います!
締めくくりの言葉が好きでなりません。

『必ず自分に問うて欲しい・・・・あなたは本当の"肉喰い"であるかを』

肉料理のレシピまで乗ってる親切な1冊。
さて・・・
この本を読んでも尚、肉を躊躇い無く口に運べるかどうか・・・
ラストの1文はまさにこれを問うているんだと思う。
私は・・・少し拒否反応ww
見事にやられました(^_^;)

制服捜査 / 佐々木譲

制服捜査 / 佐々木譲

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警察官人生二十五年。
不祥事をめぐる玉突き人事のあおりで、強行犯係の捜査員から一転
単身赴任の駐在勤務となった巡査部長の川久保。
「犯罪発生率、管内最低」の健全な町で、川久保が目撃した荒廃の兆し、些細な出来事。
嗅ぎつけた“過去の腐臭”とは…。
捜査の第一線に加われない駐在警官の刑事魂が、よそ者を嫌う町の犯罪を暴いていく
本物の警察小説。


単純な勧善懲悪ものじゃないのが面白かったです!
駐在所のお巡りさんが地域の事件を解決する。
その地元感、地方感というのがよく現れていてよかったと思います★

隣人との付き合いが密で
同じ町内に住んでいる人、みな顔見知り。
一見、とてものどかで平和な風景だけど
そのなぁなぁさが様々な事件を複雑に、余計に悲しくもする。

短編集の形ですが、どの話も完全なハッピーエンドではなくて
どれも色々考えさせられました。
私は1番最初の話が好きです!
リンチ殺人がただの事故死と判断され
その事実を覆せなかった事実に一人で私的制裁を加える川久保。
それはとても許された行為ではなかったけれど
輪姦されて町を出て行く事になった女子高生のことを思うと
まだまだ生ぬるいとも思ってしまう。

よそ者という立場の中で
それでも、事件解決のために奔走する川久保さんがとてもカッコ良かったです!
結構あっという間に読めてしまった作品でしたvv

闇の子供たち / 梁 石日

闇の子供たち / 梁 石日

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貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは
もはや生きているだけの屍と化していた。
実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され
世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。
アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。
幼児売春。臓器売買。
モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。


過去、児童への虐待を描いた本は様々に読んできました。
それでも、この本から受けた衝撃には足元にも及ばない。
酷い。その一言だ。
自分が今どれだけ平和な国に生きてきて
どれだけ恵まれた生活を送ってるか
まざまざと知りました。

こんなにも胸が痛くてなって
今すぐタイに飛んでいって、一人でもいい・・・
売春宿にいる子達を引き取りたいと思わせた本はありません。
もちろんこの本は小説だ。
誇張も嘘も多分に織り込まれてるだろう。
それでも、児童売買春という犯罪が無いわけではない。
私達は著者が提示した問題提起を考えていかなければならないのだろう。

10代でエイズを発症するまで身体を酷使されるか
本人の意思なく臓器売買の犠牲となる。
つい先日、日本では脳死は人の死だという定義が衆院通過。
こういった問題がどんどん身近になってきたと思う。
本書のような状態に、自分が移植を待つ母として置かれた時
私は見も知らぬ子供の命を考えて諦められるか・・・
私にはYesと言い切る自信は皆無だ。

重くて、キツくて・・・決して読んで楽しい気分になる本ではない。
読んだことを死ぬほど後悔する人も多いだろう。
それでも、何よりも無知というのは罪だと思うから
一人でも多くの人にこの本を読んでもらいたいと思った。

コフィン・ダンサー / ジェフリー・ディーヴァー

コフィン・ダンサー / ジェフリー・ディーヴァー

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ベッドから一歩も動かず
スーパーコンピュータなみの頭脳で犯人を追い詰めていく異色捜査官の本作における敵は
その刺青から「コフィン・ダンサー(棺桶の前で踊る死神)」と呼ばれる殺し屋。
大陪審で大物武器密売人に不利な証言をする予定の証人を消すために雇われた彼によって
民間航空運輸会社の社長兼パイロットがその毒牙にかかり
彼の妻が次の標的に。
大陪審まであと2日。
追う者と追われる者の息詰まる勝負の行方は…。


伏線の回収方法とラストのどんでん返しの素晴らしさを考えると
前作よりも出来は上のような気がします。
(ダンサー、お前か〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)感は相変わらずvv

とにかく面白かった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!笑。

ハードカバーとしてはそれなりの量ありましたが
速攻で読破。
ラスト100ページのスピード感には舌を巻きます。
『目を離せない』って、小説にも使える言葉なんだ!と実感。

ダンサーの描写が抜群に良かったと思います★
気味悪さとか執拗感とか・・・・
暗殺者なんてとても遠い存在のはずなのに
どこか身近にいそうな雰囲気を醸し出してて
自分の身近にもさりげなくこういう人がいるんじゃないか、と考えられて
それがとても怖かった。

ライムとの頭脳戦にはハラハラしっ放しでした!
あのライムが後手後手に回ってる姿には胃がキリキリし始めるほど。
また自ら好戦的に出るアメリアには(待て〜〜!!)と何度も叫んでました
頭脳戦にどんでん返しにハラハラ感。
ミステリの面白さを全て凝縮したこの本が面白くないわけが無い!
ライムシリーズ、本当に大好きです★

ユニット / 佐々木譲

ユニット / 佐々木譲

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十七歳の少年に妻を凌辱され殺された男、真鍋。
警察官である夫の家庭内暴力に苦しみ、家を飛び出した女、祐子。
やがて二人は同じ職場で働くことになる。
ある日、少年の出所を知った真鍋は復讐を決意。
一方、祐子にも夫の執拗な追跡の手が迫っていた。
少年犯罪と復讐権、さらに家族のあり方を問う長編。


テンポも良く一気に読める作品でしたv
面白かった!!!!

汚職警官を描かせたらこの人の右に出るものはいないですね・・・
法のボーダーというものを知っているからこそ
罪に問われない程度の暴力を妻に与え続ける門脇。
その執念と気味悪さが本書に良いスパイスを与えてました!

これはやっぱり山口県光市の母子殺人事件を元にしてるんですかね?
あの事件が浮き彫りにした問題点を見事に描いてたと思います!
未成年が凶悪犯罪を起こしてしまうということ。
被害者と加害者とは。
日本の法の元では復讐の最大手段が死刑求刑であること。
現行法について色々と考えさせられました。
もちろん、小説だから極論に走ってる部分はあったけれども
やり切れなさはたっぷりと味あわされた。

家族の定義、これも最近ではなかなか曖昧ですね。
以前は『血』が何よりも重要視されていたけれど
血がつながってるのに不幸でしかない家族もあれば
血がつながって無くても幸せな家族もいる。
じゃあ、何をもって家族という社会的単位を与えるのか?
書名にもなってるように『ユニット』って言うのは良い言い方だな、と思った。
何よりもまずそれぞれの『個』を尊重しつつ
その『個』を尊重しあえる者たちの集まり、『ユニット』。
賛否両論あるだろうけれども、私にはしっくり思えたvv

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